7月30日から5日間、米国マサチューセッツ州ボストン市で世界最大級のコンピューターグラフィックスのイベント(学会・カンファレンス・展示会):SIGGRAPHが今年も開催された。
・日 時:2006年7月30日(日)〜8月3日(木)
・場 所:ボストンコンベンション&エキシビジョンセンター SIGGRAPH会場
3Dコンソーシアムでは、一般展示会に4度目となる出展参加をした。当コンソーシアムの出展ブースには、スリーディ社、Dimension Technologies社、Stereovision Imaging社、PrismVision社、For3D社、並びにシャープ社の計6会員企業が参加した。
今年のSIGGRAPHは、昨年までの2年間が西海岸のロサンゼルスで開催された経緯もあってか、全出展数がやや少なめで、目玉となるようなトピックも過去数年に比べると少ない印象を受けた。(来年はまた西海岸に戻ってカリフォルニア州サンディエゴ市にて、8月5日から開催されることが決定している。)
今回の展示会で話題を集めていたのは、「Emerging Technology」展でのNTTDoCoMo総合研究所「U-TSU-O-MI」。人間とコンピュータの次世代インターフェイスとして発表されたシステムで、ロボットフレームが内蔵された人形をヘッドマウントでスプレイをつけた状態で見ると3DCGが人形に合成される仕組みのもの。
また、3D立体視関連では、同展での「HOLOVIZIO」(
http://www.holografika.com/)が同様に注目を集めていた。60数台のDLPプロジェクターと大量の液晶シャッタースクリーンを組み合わせたシステムで、非常に輝度も解像度も高いので、画像がとてもビビッドに見える。 多視点方式で、異なる視点から見ても、その角度から立体情報が得られるというシステムになっており興味を引かれた。同システムはまだ技術展示のレベル。開発元のHOLOGRAFIKA社は当コンソーシアムのブースに立寄られ、当コンソーシアム活動に関心を持たれていた。
毎年注目を集める「Electronic Theater」は、コンピューターアニメーション・フェスティバルの一環で、世界中のクリエーターから投稿されたCGアニメーション作品の中から入選作品が選ばれ、SIGGARAPH会場内の大劇場で上映されるもの。今年は過去最大の応募数があった模様だが、例年になく日本人作家の作品やゲーム映像関連が少なかった点が気がかりだった。
最優秀作品は、Bryan Godwin氏作の「ONE RAT SHORT」。最優秀特別賞として、Iij Brunck氏他が制作した「458nm」が受賞した。
また、作品を上映する前に観客に参加してもらうゲーム感覚のインタラクティブなイベント(入場の際に、手渡された反射板をスクリーン設置されたセンサーカメラで感知し、リアルタイムでスクリーンに反映するシステム)が印象的であった。
全体として、依然、非常に活気のあるグラフィックス関係の総合イベントであることは間違いないが、冒頭に記述のとおり、開催地による影響からか、若干、スローダウンの印象を受けた。 ただ、来年は西海岸に戻ること、映画業界で3D化を糸口に回復の曙光が見え始めてきたことなどの要素があるので、当コンソーシアムとしては今後も情報収集とアピールの場として最大限に活用していくべきと感じている。 特に、映画が追い風となって、制作(ポリゴンデータとして)の3Dだけでなく、表示・アウトプットとしての3Dが益々注目を集めていくと期待しているので、当コンソーシアムにとっても、その役割が高まってくることと思う。
※SIGGRAPH2006の詳細は、
http://www.siggraph.org/s2006/まで。