当コンソーシアムの最近の活動状況あるいは活動予定についてご報告させていただきます。12月に入って福岡において開催されましたインターナショナル・ディスプレイ・ワークショップ(IDW)、あるいは静岡において開催されました日本光学会の年次学術講演会などで3Dコンソーシアムとしてのメッセージを伝えさせていただきました。
3D技術が生活を変える
さらに昨日は、「3D技術が生活を変える!」というテーマで、東大安田講堂において読売・東大知識の構造化シンポジウムが行なわれました。このシンポジウムのポイントだけを説明させていただきます。当コンソーシアム賛助会員の伊東乾先生(東大助教授)が総合司会をされ、小宮山宏先生(東大副学長)や石井威望先生(東大名誉教授)が基調講演をされました。
小宮山先生は、領域が細分化する一方で情報が氾濫している状況、このことが全体像を見えなくしているのではないか、だから知識の構造化が必要であるという論旨の講演内容でした。この知識の構造化には3Dの表現も含まれるとのことです。石井先生は、「パラレルリアリティ」と「キュービタル」という概念を披露されました。パラレルリアリティとは、異なった場所を常にパラレルに見ることによって何かが起こるという仮説。キュービタル(立体)とは、デジタルは2次元の世界だが今後は次元を超えてものを見るデジタルに対抗する新しい概念として紹介されました。
その後のパネルディスカッションには当コンソーシアムの片山幹雄会長が参加、今回のシンポジウムに対してのメッセージをいくつかさせていただきました。まず当コンソーシアムのミッションといいますか、3D市場の健全な発展をめざして150を超える企業・団体が、そのノウハウを持ち寄って市場形成に力強く歩み出したという報告。そして3D表現、3Dならではの有効性、たとえば教育分野・医療分野あるいは科学の領域で利用促進を図りたい。つまりこれは人間と自然の共生ではないかという提言。またこれらの取り組みを実現していくために、産学の連携については来年は従来以上に力を入れたいと。日本から世界へ発信する、日本が世界のフロントランナーになってやっていこう、こんな呼びかけを3Dコンソーシアムとしてさせていただきました。
読売・東大知識の構造化シンポジウムにおけるパネルディスカッション
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この他にも、スポーツ医学のイメージトレーニングで、トップアスリートを育成するのに新しい3Dディスプイは有効ではないか、とのお話もありました。これら講演内容は、読売関連のホームページに紹介され、あるいは特別のチャンネルでも放送されると聞いておりますのでご案内いたします。
2004年度のスタートイベント
今後の予定ですが、2004年の2月4日〜6日に日本印刷技術協会主催の「PAGE2004」が開催されます。日本印刷技術協会はかねてより3Dコンソーシアムの活動に着目しており、今回当方に対して展示エリアの無償提供の申し出がありました。展示コンセプトとして、3Dコンテンツが「制作」され、「編集」され、「表示」される各ステージをわかりやすい形でお見せするのはどうかと考えております。さらに3D印刷なども含めて、多くの人に「3Dはおもしろいね」との関心を持ってもらいたい。2004年度のスタートイベントと位置付けています。
そして2月24日には、当コンソーシアムの年次総会を開催しますが、記念講演・シンポジウムを企画しております。ここでも新しい着想の企画をすすめておりまして、実写の3Dコンテンツは感銘を与えるというか、ジャストフィットするものが少ないのが現状です。たとえば写真集団STEREO CLUB TOKYO(当コンソーシアム賛助会員)に協力いただいて、3D写真にこだわって撮った作品を展示するとか、こうしたことが3D表現への理解と市場の盛り上がりにつながればと考えております。
京都府から全国各県への展開
最後に、京都府が推進する「デジタル疎水ネットワーク」へのアプローチについても、その後の経緯をご報告させていただきます。京大・松山隆司先生(当コンソーシアム賛助会員)のご紹介により3Dコンソーシアムとしての提案活動を行なってまいりましたが、11月のキックオフイベント(展示会)にも参画して、知事さんをはじめ府庁幹部の方々に3Dというのはこういう可能性を秘めているということをご説明させていただきました。いずれにしてもこうした遠大な事業計画にスタート時点から我々が関与できたことに意味があります。
「デジタル疎水ネットワーク」へのアプローチは、我々3Dコンソーシアムメンバーの活動におけるベクトル合わせとしてご提案をさせていただいたのですが、まずはスタート位置に着くことができた。今後は3Dの活用といったフェーズに入っていきたいと考えておりますので、会員の皆様から具体的なアイデアと実践的なコンテンツのご提案をいただきたい。しかし京都府の事業は一例であって、「e-Japan重点計画」の展開の中で各県が同様の動きを行なおうとしております。ならば我々も横展開が可能なテーマ、e-Japan重点計画に入り込める切り口として認識をしたいと。
以上、本日の勉強会冒頭のごあいさつに代えて、最近の活動状況をご紹介させていただきました。