3Dコンソーシアム -3D新時代“驚きから感動へ!”-
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「3Dコンソーシアム平成18年度通常総会/基調講演会/併設展示会」の開催
(会場:恵比寿・日本SGIホール)
2006年2月17日
平成18年度の「通常総会/基調講演会/併設展示会」が、東京・恵比寿ガーデンプレイスにある、日本SGIホールで行なわれた。
開会に先立ち、片山幹雄会長より挨拶がなされた。
片山会長の挨拶(要旨)
デジタルシネマの状況などのコンテンツの動向や、視覚安全面などの関連情報を総括し、3D市場機運の高まりを改めて全員で確認すると共に、液晶やPDPなどが現在のように急速に普及してきた事を例に挙げ、「技術革新の速度は、我々の想像を超えるスピードで進展していることを改めて認識することが大切であり、コンテンツを扱う人々の夢があれば、技術によってクリアできる「種」はまだいっぱいある。これらの種を、新しい技術開発によってクリアし、3D市場を一般にも広げる責任が我々にある。」と今年も積極的に活動を展開すよう改めて会員の皆様に呼びかけた。 ※詳細
通常総会後には「基調講演会」が開催され、竹内芳明氏(総務省情報通信政策局技術政策課研究推進室長)、大口孝之 氏(映像クリエータ・ジャーナリスト)、片山美和氏(NHK放送技術研究所 専任研究員)、不二門尚氏(大阪大学 医学部眼科・教授)、河合隆史氏 (早稲田大学 大学院国際情報通信研究科・助教授)ら各氏の講演が行なわれた。各回とも会場は熱心な聴講者でいっぱいとなった。
谷口事務局長の挨拶(要旨)
これまでの3年間の活動を振り返るとともに、更なる飛躍に向けた今年度の注力ポイントを5つの重点施策をベースに説明。
「私どものこれまでの3年がフォアキャスティング(※1)的であるとすれば、これからの3年はバックキャスティング(※2)の手法も取り混ぜながら、ユニバーサルコミュニケーションの時代にわれわれはどうあるべきかを考えたい。」と、着眼点を拡げつつ、会員の皆さまと関連企業の皆さまの叡智を結集して進めていくことの大切さを確認した。 ※詳細
(※1)フォアキャスティング
過去の趨勢をベースとして過去の伸びを将来に適用して引き伸ばして将来を予測する方法。
(※2)バックキャスティング
将来から現在を振り返り、現在何をしていけばいいのかを考える将来予測がバックキャスティングの考え方。
また講演会場の外に設けられた特設会場では「併設展示会」が開催され、11社(10件)の出展・デモがあり、各ブースにおいて活発な質疑応答がなされていた。
なお、基調講演および展示会参加者は127名であった。
通常総会
通常総会成立を宣言する南雲正彦議長
各号議案を説明する泉邦昭事務局次長
平成18年度通常総会は、構成員88名中、出席38会員、委任状提出21会員となり、過半数以上の出席および委任状提出を確認して成立した。
本総会において審議された議案は全議案はすべて承認された。議案は下記のとおり。


通常総会議案
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片山会長の挨拶
3D市場の潮流
21世紀、3D市場拡大に向けての責務


片山 幹雄会長
挨拶に立つ片山会長
本日は、お忙しい中「平成18年度3Dコンソーシアム通常総会」にご参集いただき、誠にありがとうございます。

会長を務めさせていただいております、シャープの片山です。総会の冒頭で誠に恐縮ですが、お時間頂戴し、一言ご挨拶させていただきます。

3Dコンソーシアムが発足してから3年間、特にこの1、2年は3Dのインフラ整備が急拡大してきたように思います。

特にアメリカにおいては映画産業において3Dが注目され、技術革新もいまや日本を凌ぐほどになっております。もともとグローバルな展開を目ざし、志を同じくする仲間を求めていったわけですから、拡大に向けての活路を見出すことができるようになってきたともいえるでしょう。

3D市場を考えるに、ハード、ソフト、コンテンツ、この3つがそれぞれ拡大していかないと成長していかないと思います。

このような状況をふまえ、3Dの現状と課題を私なりにまとめたものをお話しさせていただきたいと思います。

映像の歴史を振り返りますと、人類は、古代文明期より絵画や写真などさまざまな表現手法を求めてきたわけですが、わずか100年の間に動画の時代を築いてきたわけです。

この100年を見ても、近年は液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、プロジェクトションなどのハードが進化し、またソフトを管理、表現する手段も進化してまいりました。

その中で、昨年開催された「愛・地球博」でも、多くのパビリオンで立体映像装置が使われ、そのコンテンツ表現の進化とも相まって新鮮な驚きと感動を与えたのは記憶に新しく、また今日の液晶テレビの発展の基礎を築き、昨年11月に京都章を受賞されたジョージ・H・ハイルマイヤー博士も、今後の注目技術として、3Dを挙げられています。

まさに20世紀は動画の時代、そして21世紀は立体映像の時代といえるでしょう。

アメリカでは、ロバート・ゼメキス監督の2004 年の作品「ポーラー・エクスプレス」は、その3D版が非常に高い評価を受け、昨年の11月から再度全米のiMax シアターでリバイバル上映されていますし、また、米国のデジタル・シネマ業界団体「DCI(Digital Cinema Initiatives)」が昨年7月に仕様を決めたことにより、3D方式の上映も可能なデジタル・シネマ上映システムの導入も世界規模で進んでいます。

昨年11月に公開されたディズニー初の長編フルCG作品「チキン・リトル」は既に85館で3D上映され、全米公開第一週目で興行成績第一位となりましたし、今年の2 月にはSony Pictures が「シャークボーイアンドマグマガール3D」を封切るなど、今年も3D作品の上映が連続しております。

昨年ラスベガスで開催された映画興行関係者向けのコンベンションでは、ジョージ・ルーカス、ロバート・ゼメキス、ジェームス・キャメロン、ロバート・ロドリゲス、ランダル・クレイザーなど、著名な映画監督らが「デジタル立体上映に関するシンポジウム」を開催し、「今後の映画産業のカギは3Dだ」と主張しました。

実際、ルーカスフィルムは、スターウォーズシリーズの全6作を3D に変換して順次上映するという計画もあります。

さらに、全米ネットのNBC で、人気ドラマ「Medium」の3D放送が行なわれるなど、放送波でも3D映像配信が行われていることも注目すべき点です。

3D市場の健全な拡大には、人体にもたらす影響を検証するアプローチも大変重要です。

この分野でも、会員の皆様のご尽力もあり、リファレンスとなる重要な指針が策定されつつあります。

その一つ、総務省の委託研究「ネットワーク・ヒューマン・インターフェースの総合的な研究開発(映像が生体に与える悪影響を防止する技術)」では、3D 映像の影響についての調査が行われており、「通常の2Dディスプレイと比べて3D ディスプレイは視覚疲労で有意な差がない」という結果が出ています。

また、むしろ3D映像を積極的に見ることで、目が良くなる、動体視力が上がるなど、生体に有益な効果をもたらす研究も各方面で進んでいます。

加えて、安全なコンテンツの作成には映像制作者向けの指針も重要です。

この観点の研究も進展しており、昨年9 月には、国際標準化機構(ISO)より映像の安全性に関するガイドライン「ISO IWA3」が策定、公開されています。

ISO IWA3 は、国際的にオーソライズされた立体を含む唯一のガイドラインで、安全面で最初に参照されるべき基準となるもので、このガイドラインの中にも立体関連に対する記載が明記されています。

3Dコンソーシアムでは、会員の皆様がより具体的なビジネスに重ねて検討いただけるよう、ISO IWA3 の立体関連部分に完全準拠し、補強した内容の「3DC ガイドライン」を作成しております。本日皆様にお渡ししておりますので、ご確認いただければと思います。

3Dは、ユビキタスネット社会の実現に不可欠なユニバーサル・コミュニケーション技術においても、重要な技術として注目されています。

総務省の「ユニバーサル・コミュニケーション技術に関する調査研究会」が昨年12 月に発表した「最終報告書」には、3次元立体映像によるコミュニケーションが「超臨場感コミュニケーション技術」として挙げられ、「今後、技術が成熟し、情報の伝達や共有により新たな知の創造や社会問題解決が図られることにより、例えば、家族の絆が強まり、立体テレビに興奮し、国際的な交渉がスムーズに展開し、安心・安全に暮らせるといった社会が形成される」とまとめられています。

総務省では、この研究の延長線として「ユニバーサル・コミュニケーション産官学フォーラム(仮称)」を立ち上げる計画であり、3Dコンソーシアムでも積極的に参画する意向を表明しております。

本日の基調講演会で、「ユニバーサル・コミュニケーション技術の研究開発」について総務省竹内芳明研究推進室長にご登壇頂くことになっていますので、大きなプロジェクトの息吹を感じていただけるかと思います。

3Dディスプレイは、「CEATEC」や「FPD International」などの展示会や、各種のフォーラム、学会などで例年話題の的になり、また3Dコンソーシアムが協賛している「立体Expo(立体映像産業展2005)」も好評を博しています。

今年の6月には、産業用バーチャルリアリティ展内に、「3Dディスプレイフェア」が新設されることになり、3Dコンソーシアムも後援することとなりました。

最後に、3D 映像の表現が活かされるマーケットについて分析し、現在の状況と照らし合わせてみましょう。

今回は「公共⇔パーソナル」「娯楽⇔実用」などのデバイスから、3Dが活かされる分野を考えてみます。

3D表現と一口に言っても、その使われる用途によって要求されるニーズが異なるため、表示デバイスに求められる要件も変わってきます。

パーソナル面においては、偏向メガネなしで見られるように、ハードのデバイスを強化していく必要があると思います。

またハード、ソフト、コンテンツの3つの要素が重なっている、映画産業にいたっては、これはひとえに、「偏向メガネ+プロジェクション」という視聴スタイル(ハード)がほぼ確立されているため、ソフト・コンテンツが育った結果と言えるでしょう。

私もハードウエア(デバイスメーカー)の立場としては、まだまだ取り組むべき課題が多いことを痛感しておりますが、その分チャンスの多い分野ということも充分感じております。

技術開発を継続的に進めるよう積極的な対外活動を進め、産業界に働きかけるのも、この3Dコンソーシアムの意義だと考えております。

以上、大変駆け足で市場概況をおさらいしましたが、今年も3Dを取り巻く環境が益々活況を呈することは確実です。

現在私が手がけております液晶テレビにしましても、7年前に「2005年にはすべての世帯のテレビを液晶にする」と目標をかかげ、私自身も本当にそうなるのか疑問をもったものでしたが、現状はまさに液晶の時代となり、いまや65インチサイズのものまで家庭に入る時代になりました。

忘れてはいけないのは、科学技術の進歩はわれわれの目線よりもさらに上に進んでしまうということです。

いまのわれわれの活動は世界と比べるとまだまだ小さい規模のものですが、アメリカのようにコンテンツを扱う人々の夢があれば、技術によってクリアできる「種」はまだいっぱいあると思います。

これらの種を、新しい技術開発によってクリアし、3D市場を一般にも広げる責任がわれわれにあります。

今年度も皆様と一緒に、この3D市場を盛り上げていきたいと存じます。

本年も引き続きよろしくお願い申し上げます。

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谷口事務局長の挨拶
ハード、ソフト、コンテンツいろんな芽が確実に進化してきている今、
市場形成に向けた取り組みを強化していく

谷口 実事務局長
谷口事務局長
3Dコンソーシアム事務局長を務めております。シャープの谷口です。
本日はご多忙の中、誠にありがとうございます。
基調講演に先立ちご挨拶をさせていただきたいと思います。

3D市場におけるソフトウエア、ハードウエア、コンテンツなどのノウハウを共有することを目的に設立された当コンソーシアムも、早いもので4年目に差しかかかろうとしています。
その間ざっくり振り返ってみますと、まず設立当初の2003年度は学会・各イベントへの参加など、啓蒙活動のため試行錯誤を繰り返しながら、模索的なことを行ってきた年でありました。
2004年度グローバルな視野の中で展開してきた年でした。
そして昨年度は活動の幅がひろがってきた年でした。例えば小学生向けのイベントを開催をはじめ、一般の人に対しても積極的に活動の場を広げていった年でした。

今年度の活動ポイントは、アメリカでの3D映画界をはじめ、いま3D市場は国際的活動の広まりを見せてきている中、ハード、ソフト、コンテンツいろんな芽が確実に進化してきている、この芽をさらに一段と強化し、キラーとなる効果・効能の形成にむけて、最初の3年が第1フェーズとするなら、いよいよ市場形成に向けた取り組みをしていきたいと考えております

特に総務省のユニバーサルコミュニケーションの取り組みをはじめ、昨年から呼びかけをしてまいりましたが、3Dならではの効果・効能、例えば目のストレッチ、認知症に対する取り組みなど、教育・学習・医学など面から3D利用の効果を高めると共に、これらのキラーとなる効用を研究することで関連ビジネスを切り開くための活動を皆さんとともに強化・推進していきたいと思います。

またコンソーシアムの活動を積極的に対外発信することにも、従来以上に力を入れていきたいと考えております。

具体的な施策としては5つあります。

1つは、ISOガイドラインの周知徹底です。「人に優しい3D普及のための3DC安全ガイドライン」をベースにして3Dに対する安心感を広げる活動をして参りたいと思います。

また、当コンソーシアムのホームページ、会員の皆さま、クリエーターの方々とのネットワークを通じ、より多くの人に3D市場の普及を呼びかける活動。

そして最後に、総務省のユニバーサルコミュニケーション活動に、積極的に参加していきたいと考えております。

過去、および現在の状況から見えるさまざまなことをベースに将来を考えることを「フォアキャスティング」といいますが、これとは逆に先のコトを見据えて今を考えることを「バックキャスティング」と言うのだそうです。

2015年のユニバーサルコミュニケーションはどうあるべきかを考えるという総務省のこの活動の場合は、バックキャスティングにあたります。

これを踏まえ、私どものこれまでの3年がフォアキャスティングであるとすれば、これからの3年はバックキャスティング、ユニバーサルコミュニケーションの時代にわれわれはどうあるべきか、これを最重点の取り組みにしていきたいと考えます。

会員の皆さま、関連企業の皆さまの叡智を結集して進めてまいりたい。

力強い市場形成のためにはこの2つの視点があることで、さらに強化していくのではないかと考えます。

本日の基調講演でのお話を参考にしていただき、ぜひ会員の皆さまと共にさらに強い市場形成に向けて、邁進していきたいと思います。

本日はありがとうございました。

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基調講演会の内容
ユニバーサルコミュニケーションの実現に向けて

総務省情報通信政策局技術政策課研究推進室長
竹内 芳明
昨年12月、総務省より公開された「ユニバーサル・コミュニケーション技術に関する調査研究会の最終報告書」では「3次元立体映像によるコミュニケーション」が重要な技術開発課題として取り上げられている。この報告書の取りまとめをされた竹内氏よりその内容と実現に向けて講演いただいた。

◎講演用データ 
Somusho.pdf(PDFデータ【8.83MB】)

新たなる立体映像ブームの到来

映像クリエータ・ジャーナリスト
大口 孝之
最近、ハリウッド映画では続々と立体映画が公開されている。なぜ今立体映画なのか、どうすれば一時期の流行に終わらせないようにできるのか、過去の流行を振り返り、問題点と今後の可能性について講演いただいた。

◎講演用データ Ouguchi.pdf(PDFデータ【815.05KB】)

伝統舞踊の3次元映像アーカイブ化について

NHK放送技術研究所 テレビ方式 専任研究員
片山 美和

同氏は、3次元映像技術を無形文化財の保存に活用するために、能楽の演者の3次元オブジェクトを高品質に生成、その映像をアーカイブ化する技術の開発を目指し、研究を進めている。この研究成果について講演いただいた。

◎講演用データ Katayama.pdf(PDFデータ【932.60KB】)

医学的見地から〜3D・立体の生体影響について

大阪大学 医学部感覚機能形成学教授・眼科兼担
不二門 尚
3D映像視聴時には視覚効果の影響から、眼精疲労や映像酔いなどが生じる。この症状について解説すると共に、医学的な見地から3D映像の安全性について講演いただいた。
韓国における立体映像産業の動向

早稲田大学 大学院国際情報通信研究科助教授
河合 隆史
(財)デジタルコンテンツ協会では平成17年度より3Dコンテンツに関する調査委員会を発足し、コンテンツ、技術、海外動向の3つのワークグループ活動を開始した。本講演では海外動向ワークグループが現地視察した韓国の現状についてその調査概要の報告について講演いただいた。
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併設展示会(出展社/出展内容)
(株)有沢製作所&Dynamic Cigital Depth Inc.社<共同出展>
・2DのDVD・ビデオも3Dで見られる「Tridef DVD Player」



(株)アイパワースポーツ
3D動体視力トレーニングソフトウェア「POWER3D VISUAL TRANING SYSTEM」
スポーツマンには欠かせないアイトレーニングに絞ったソフトウェア。3Dにより広い空間が再現されるので、実践に近いトレーニングが可能。



インターサイエンス(株)
ハイビジョン対応立体映像制作ソフトウェア。
通常の2D作品から奥行き情報を取り出し、3Dへ完全自動変換。また従来の2D/3D変換では不可能だった驚き効果の飛び出し編集まで、多彩な機能をサポート。

NHK放送技術研究所
伝統舞踊の3次元映像アーカイブ化についてデモ展示

(株)NTTドコモ
自然立体表示が可能な3Dディスプレイ

(株)NTTデータ三洋システム
20型高精細LCDを使用した、複数人が広い範囲で同時に立体視できる、多視点方式メガネなし3Dディスプレイ

シナノケンシ(株)
立体画像キャプチャシステムのデモ展示



(株)メタ・コーポレーション・ジャパン
立体表示に対応した医学教育界向け教育システム「Actioforma(アクティオフォルマ)」の展示。医学教育の場においてリアルに近い状態での講義、手術前後のミーティングなどに対応可能。

シャープ(株)
65型インフォメーションディスプレイ

東京農工大学(高木康博氏)
72指向性画像を有する薄型三次元ディスプレイ
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